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注意
本投稿では、技術基準適合証明を受けていない機器を取り扱います。
日本国内では、一部の場合を除き、技術基準適合証明を受けていない通信機器の使用は、法律で禁じられています。
本投稿は、技術基準適合証明を受けていない機器の使用を推奨するものではありません。


前回の投稿:
海外版 Xperia XZ 購入レビュー。新しくなったデザインを見てみる 【開封編】
海外版 Xperia XZ 購入レビュー。大幅な進化を遂げたカメラ機能を試す 【カメラ編】

今回は、オーディオ機能や電源系のレビュー、使用感等を含めた総評を投稿します。

オーディオ

内蔵スピーカー
Xperia XZに内蔵されているスピーカーは、Z4/Z5/X Performanceのものと比べ、音質が向上しているように感じました。

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従来機より中音域が良く出ているようです。
iPhone 7やHTC製スマートフォンなど、ステレオスピーカーを搭載する他端末と比較しても、圧倒的に解像度の高い音を出します。
小さな楽器の音など、微細な音もしっかりと再現されており、スマートフォンのスピーカーとしてはとても優秀であると言えるでしょう。

しかし、従来機同様、他端末に比べ低音域が控えめな印象は拭いきれません。
バランスが良く、心地よい音ではあるのですが、迫力に欠ける場面があることも確かです。

iPhone 7のステレオスピーカーは、左右で大きく位置が異なるためか、横持ち時の聞こえ方に違和感を感じましたが、XZではそのようなことはありませんでした。

初回起動後数時間は、内蔵スピーカーの調整作業(キャリブレーション)が行われるため、左右の音量レベルに違いが感じられます。
キャリブレーションの進行状況はService MenuのService testsより確認が可能です。

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Speaker Calibration Statusより、キャリブレーションの進行状況を確認できる
そのほか、Service Menuでは、新たに搭載されたセンサー類のテスト項目も確認できた


内蔵マイク
Xperia XZでは、従来機より内蔵マイクの性能が向上しており、音割れを起こしやすい高音に対する改良が行なわれているようです。

Z4と比較してステレオ感が向上し、ノイズが減ったように感じますが、外部スピーカーやヘッドホン等で聞かない限り、違いは分からないでしょう。

オーディオの基本性能も向上
音声処理に関わる内部のアナログ回路を最適化することで、全体的な音声再生能力の向上が図られているようですが、従来機と比較して大きな違いは感じませんでした。

関連する投稿:
【イヤホン】詳しくない人のXBA-Z5レビュー。ソニーのフラッグシップイヤホンは

指紋認証機能がさらに快適に

ソニーモバイルはとくに発表していませんが、Xperia X Performanceよりさらに高速&高精度になっているように感じます。

私が使用したことのある端末の中では圧倒的に速く、指をほんの一瞬、弾くようにセンサーに触れさせるだけで認証が完了します。
「他社のものより許容の域が広い」=「セキュリティ的に弱い」と言えばその通りなのかもしれませんが、簡単に突破できるようなものでもないため、スマートフォンの保護という意味では、速度重視の方が理にかなっているとも言えるでしょう。

指紋の登録から時間が経っても、精度が落ちるようなことはなく、皮脂汚れや湿り気があるなど、他の端末では認証できないような状態の指でも、問題なく認証が可能なことが多いです。

Xperiaは、指紋認証センサーが側面に搭載されており、センサーの面積や厚みの制限があることから、速度、精度面で不利になりがちです。
その中で、ここまで高いレベルに引き上げることができたのは、すごいなあと思いました。

電源系
Xperia XZでは、外部接続端子として新たにUSB Type-Cポートが採用されました。

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USB Type-Cはリバーシブルな端子で、向きを気にすることなく接続することができるメリットがあります。

関連する投稿:
【USB Type-C】スマートフォンの接続端子は次世代に!

本来であれば、高速なUSB 3.1規格にも対応することが可能な端子ですが、XZでは従来のUSB 2.0規格のままであるため、転送速度の高速化は期待できません。

充電速度が高速化?
Xperia XZはQuick Charge 3.0に対応しており、従来機より高速に充電を行うことが可能なようです。
バッテリーを長寿命化させる"Battery Care"もX Performanceから進化しており、設定次第ではさらに内蔵電池への負担を減らすことができます。

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新たに追加された"いたわり充電"機能
VAIOやウォークマンなどで採用されていたものに近いと思われる


バッテリーの充電速度を従来のQC2.0対応端末であるXperia Z4と比較してみました。
Xperia Z4は2930mAh、XZは2900mAhのバッテリーを内蔵しています。

比較条件
・ACアダプターは、QC3.0に対応している"Anker PowerPort+ 3 with Quick Charge 3.0"を使用しています。
・急速給電に対応するケーブルを使用して、0%まで放電した端末に、電源が切れた状態のまま給電しました。
・10分ごと(給電開始時のみ5分後)に充電の進行状況を記録し、100%になるまでの時間を計測しました。
・"いたわり充電"機能は無効に設定しています。

時:分 Z4 XZ

0:00 0% 0% (充電開始)
0:05 6% 6%
0:10 13% 11%
0:20 28% 24%
0:30 42% 37%
0:40 55% 51%
0:50 67% 63%
1:00 76% 71%
1:10 83% 77%
1:20 88% 82%
1:30 92% 86%
1:40 96% 90%
1:50 98% 92%
2:00 99% 95%
2:02 100% 95% (Xperia Z4 充電完了)
2:10 100% 97%
2:20 100% 99%
2:22 100% 100% (Xperia XZ 充電完了)

Xperia Z4の方が、より高速に充電作業を進められているようです。
Xperia XZには、米Qualcomm社のQuick Charge 3.0に加え、米Qnovo社の電源制御技術も採用されているので、そちらが影響しているのかもしれません。
また、Xperia XZは給電中に筐体が過度な熱を持っていたので、過熱制御が働き、思うように充電作業を進められなかった可能性もあります。(個体不良?)

どちらにせよ、私の個体へのQC3.0規格に基づく急速給電は、本体の発熱をもたらし、結果的にQC2.0よりも効率が悪くなってしまうようです。

関連する投稿:
【3ポート充電器】Quick Charge 3.0対応! Anker PowerPort+ 3 購入レビュー!

電池持ちに不満はない
電池持ちについて、不満の声が多かったXperia X Performanceですが、XZでは、画面の大型化に伴い、電池容量も増えています。
とは言っても、電池容量自体はXperia Z5と同等レベルに戻っただけであり、SoCやソフトウェアの進化によって電池持ちを改善しているようです。

私の使用環境では、意識的に節約をしなくても、2日間持たせることが可能であり、個人的には全く不満がないと言えます。

後日、"Battery Mix"で収集した電源ログをアップロードします。

投稿しました:
【Xperia XZ】バッテリー持ちの検証。「2日使える」謳い文句がついに現実化

筐体の大きさや電池容量を考えると、他端末よりも優れた電源管理ができているように感じました。

ベンチマーク

注意
ベンチマークソフトウェアで計測されたスコアは、必ずしも実際の動作速度等に比例するわけではありません。あらかじめご了承ください。


AnTuTu Benchmark、Geekbench 4、3DMarkでそれぞれ計測してみたので、参考程度に貼り付けておきます。

なお計測は、すべてのアプリケーションの終了後に再起動を行い、しばらく放置した(自然冷却させた)上で実施しています。

Xperia XZ (F8331) Android 6.0.1

AnTuTu Benchmark v6.2.1
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Xperia XZ (F8331)

Geekbench 4 (4.0.1)
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Xperia XZ (F8331)

3DMark (Sling Shot using ES 3.1 version 2.0)
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Xperia XZ (F8331)

1世代前のSoCである"Snapdragon 810"を搭載したXperia Z4のスコアも貼り付けておきます。

Xperia Z4 (SOV31) Android 6.0

AnTuTu Benchmark v6.2.1
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Xperia Z4 (SOV31)

Geekbench 4 (4.0.1)
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Xperia Z4 (SOV31)

3DMark (Sling Shot using ES 3.1 version 2.0)
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Xperia Z4 (SOV31)

Z4比で2倍ほど大きいスコアを叩き出しています。
計測中の発熱は両者共に少なく、安定していました。

内部ストレージの速度を計測
2016年に発売されたハイエンド端末には、従来機より高速な、UFS 2.0規格のストレージを内蔵しているモデルが数多く存在します。
しかし、Xperia XZは、従来機より引き続きeMMC規格のストレージを搭載しており、他のハイエンド端末と比較して、内部ストレージの速度が遅いという弱点があります。

そこで、A1 SD Benchを使用して内部ストレージの速度を計測してみました。

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Xperia XZ

UFS 2.0規格のストレージを搭載した、Galaxy S7 edgeでは、読み込みで383.44MB/s、書き込みで164.54MB/sとなっているので、やはりXZはやや低速であると言えるでしょう。

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画像引用元:Xperia X Performance対Galaxy S7 edge対AQUOS ZETA。ゲーマーにお勧めできるスマホはどれだ? NTTドコモ2016夏モデルテストレポート

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ちなみに、私の個体はサムスン電子製のeMMCを内蔵していた

関連する投稿:
【Xperia XZ】内部ストレージの製造元は東芝、サムスン電子、SK hynixの3社。読み書き速度にも差が

LTE/Wi-Fi共に、電波の掴みが弱い

Xperia X Performanceから発生している問題ではありますが、Xperia Zシリーズと比べると、明らかにアンテナ性能が低下しています。
また、端末の持ち方によって受信感度が大きく変わるといった現象も起きており、電波状況の悪いところでは、"ジョブス持ち"を強いられるかもしれません。
この問題は、背面パネルのメタル化が影響しているものとみられますが、電波特性は携帯電話本来の機能にも関わる部分なので、今後早急な改善が必要だと感じました。

特にWi-Fi接続では、他の端末が接続可能な場所でも、XZでは接続できなかったり、不安定であったりすることが多く、利便性を大きく損なっています。
無線LAN親機等から離れた場所で使用する方は注意が必要です。

使用感

Xperia X Performance同様、Xperia Z4/Z5で起こっていた過度な発熱は改善されており、季節や場所に関係なく、快適に使用できるように感じました。
また、本体が非常に持ちやすく、長時間の使用でも手が疲れにくくなっています。
重さや重心のバランスも良く、USB Type-C端子の採用や、動作の快適さなども相まって、非常に使い勝手の良い端末に仕上がっています。


Xperia Xシリーズ以降、ディスプレイ面に1mmほどの分厚いガラスパネルが採用されており、筐体が堅く、頑丈になっています。
この堅さは、手にしたときの高級感にも繋がっており、ソニーモバイルが目指している一枚板のデザインに、より近づいたように感じました。

フレームの上下部は、本体の表面より若干飛び出しており、本体を置いたときにガラスパネルが直接接地しないようになっています。

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上下の樹脂フレームが、ガラス面より0.2mmほど前に出ている

これにより、ガラス面に傷が付きにくくなるほか、落とした時のダメージも若干軽減できると思われます。

本体設計の細かい部分に、日本製品らしい気配りが出ており、スマートフォンの"本質"を追求するという、他端末とは別の道を行くXperia Xシリーズも、個人的には悪くないように感じました。(Zシリーズの方が好きではありますが)

Xperia X Performanceから、チップセット類の変更がなく、RAMが3GBであったり、内部ストレージが低速なeMMC規格のもののままであるなど、他社のハイエンド端末と比較してスペック面で見劣りするXperia XZですが、日常使用で不便に感じることは全くなく、安定性の高い端末であると言えるでしょう。

また、撮影能力やスピーカー音質の向上など、ユーザーが直感的に体感できる改良が施されており、"いたわり充電"機能の追加も含め、従来機ユーザーにとって乗り換えのメリットが多いように感じました。


しかし、製造品質の低さやアンテナ感度の問題、充電速度の高速化が実用的でない点など、改善すべき点もいくつか存在しており、フラッグシップ端末としての完成度には疑問が残ります。

Xperia X Performance同様、Xシリーズでは、ハードウェアのスペックより実際の使い勝手が重視されており、欲しいと思いにくい端末ではありますが、"使えば良さがわかる"ものに仕上がっています。

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来年には基本性能を向上させた新モデルが登場するとの情報もありますが、5.2インチのサイズ感や大幅に進化したカメラ機能、特徴的な新デザイン、新カラーに惹かれた方であれば、満足できる一品なのではないでしょうか。

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